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国際委員会 2012CLSI報告

2012年1月CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)AST(Antimicrobial Susceptibility Test)ミーティング報告書

2012年1月22〜24日に米国アリゾナ州テンピにあるThe Buttes A Marriott Hotelで開催されたCLSI AST meetingに、本学会国際委員として石井良和委員(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)と三鴨廣繁委員(愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学/愛知医科大学病院感染制御部)が参加した。3日間にわたるディスカッションの末に以下の内容が決定された。その概要を項目ごとに示す。なお、今回の会議で決定された事項については2012年6月のASTミーティングまでは最終ではなく、最終決定版はパブリックコメントを受けた上で2013年の1月に公表される予定である。

I.ブドウ球菌/連鎖球菌ワーキンググループ

肺炎球菌に対するテトラサイクリンおよびドキシサイクリンの新しいブレイクポントを承認した。

  Old(μg/mL) New(μg/mL)
  S I R S I R
Tetracycline <2 4 >8 <1 2 >4
Doxycycline - - - <0.25 0.5 >1
  Old(mm) New(mm)
  S I R S I R
Tetracycline >23 19-22 <18 >28 25 - 27 <24
Doxycycline - - - >28 25 - 27 <24

テーブル2C中の黄色ブドウ球菌用オキサシリン・ディスク拡散法ブレイクポイントが削除される。臨床検査室は、mecA遺伝子のより高い精度で検出可能な方法であるセフォキシチン・ディスク拡散法ブレイクポイントを使用するべきである。
Skov博士は、主としてデンマークと英国で発見された黄色ブドウ球菌中の新しいmecA耐性機構の最新情報を示した。ほとんどの菌株は、ディスク拡散法およびMIC測定法のいずれの方法でもセフォキシチン耐性かつオキサシリン感受性である。そのような菌株は、PCR法でmecA陰性、PBP2a’と判定される。

II.フルオロキノロン(FQ)ワーキンググループ

新しいMICブレイクポイントが、S. Typhiおよび腸管外サルモネラ属に対してレボフロキサシン用に承認された。

  S I R
Levofloxacin <0.12 0.25 - 1 >2

S. Typhiおよびサルモネラ属に対するディスク拡散法によるブレイクポイントは今後検討される。
オフロキサシンのデータが、レボフロキサシンのブレイクポイント決定に使用された。レボフロキサシン(光学異性体のL体)は、オフロキサシンの活性体である。したがって、レボフロキサシンのMIC値は、オフロキサシンのMIC値よりも十分低く、通常は1μg/mLである。AST小委員会は、S. Typhiおよびサルモネラ属用のオフロキサシンブレイクポイントの決定を希望する。ナリジクス酸ディスクは最も有用性が期待できるが、シプロフロキサシンに感受性が低下したサルモネラ属すべてには有効であるとは言い難い。この研究は、デンマークでSkov博士によってリードされる。Barb Zimmer博士は、その研究に参加するためにMicroScanの使用を申し出ている。

III.TextおよびTableワーキンググループ

M02、M07およびM100-S○○の新バージョンはそれぞれ2012年1月に公表された。したがって、ほとんどの議論は、Tableの明瞭化および、どのようにdocumentの全体に合致したM100-S22のTablesを作成するかに集中した。

IV.腸内菌 - シュードモナスワーキンググループ

イミペネムによる治療の際のコメント「6時間毎に500mg」が、Table 2B-1(緑膿菌)の上のイミペネムのところに加えられる。このコメントは、M100-S22作成時の不注意により省略されたものである。

メタロ-β-ラクタマーゼに対するテストが、M100、M07、あるいは他のCLSIドキュメントに加えられるべきかどうかに関する議論があった。CDCのBrandi Limbago博士は、0.2mM EDTA、0.02mM 1,10 phenanthroline存在下でのイミペネムの試験結果を示した。CDCが試験したすべての菌株は、現在のカルバペネムブレイクポイントに基づくとすでに耐性と判定される。したがって、この試験方法は耐性メカニズムの判定において有用である。最終的には、どこにこの試験方法を位置づけるべきかに関する決定はMicrobiology Area Committeeに一任された。

セフェピムの腸内細菌に対するブレイクポイントについては、過去に少なくとも2度調査された。米国における最も一般的な投与量を基にすると現在設定されているブレイクポイントは正確である。
最近になって、高用量のセフェピムにより治療された腎機能障害を有する患者でmorbidityとmortalityが増加しているという報告がある。ちなみに、セフェピムのEUCASTブレイクポイントはCLSIブレイクポイントより低く設定されている。

Cefepime S I R
CLSI <8 16 >32
EUCAST <1 2 - 4 >4(>8)

Schreckenberger博士およびJenkins博士は、彼らの研究室において、カルバペネム薬のすべてに耐性を示すが、セフェピムに感受性を示す菌株を発見したと報告した。
ワーキンググループは、次のミーティングで腸内細菌用に対するセフェピムのブレイクポイントを再評価することに合意した。また、ワーキンググループは、次のミーティングでコリスチンおよびポリミクシンBのブレイクポイントを再評価することにも合意した。しかしながら、ほとんどの人は、レファレンス法およびクオリティコントロル(QC)法の改訂が終了するまでこれらの薬剤のブレイクポイントの再評価は行うべきではないと考えている。

V.内因性の耐性菌Tablesワーキンググループ

腸内細菌の内因性の耐性菌TablesはM100-S22中の165ページの上の付録Bにある。AST小委員会は、Tableに示されているオーグメンチン®およびアンピシリン/スルバクタムのCitrobacter koseriの「R」を削除することを承認した。

ワーキンググループは、2012年6月のミーティングでレビュー準備ができている非腸内細菌およびグラム陽性菌のTableに関して議論する予定である。

VI.QC作業グループ

既存の薬剤のQC株およびレンジの変更はなかった。

LFF571(Novartis)に対するQC株とその許容レンジ

  ATCC # MIC(μg/mL)
S. aureus 29213 0.12 - 0.5
S. pneumoniae 49619 0.5 - 2
C. difficile 700057 0.03 - 0.12(broth)
C. difficile 700057 0.12 - 1(agar)

Ceftazidime/Avibactam (AstraZeneca)に対するQC株とその許容レンジ

  ATCC # MIC(μg/mL)
S. pneumoniae 49619 0.25 - 2
H. influenzae 49247 0.06 - 0.5
H. influenzae 49766 0.015 - 0.06
P. aeruginosa 27853 0.5 - 4

Ceftolozane/Tazobactam(Cubist)に対するQC株とその許容レンジ

  ATCC # MIC(μg/mL)
S. pneumoniae 49619 0.25 - 1

CB-183,315*(Cubist)に対するQC株とその許容レンジ

  ATCC # Broth(μg/mL) Agar(μg/mL)
C. difficile 700057 0.12 - 1 0.12 - 1
E. lentum 43055 1 - 4 2 - 8
S. aureus
(incubated under anaerobic conditions)
29213 0.25 - 1  

                      *requires additional calcium

QCワーキンググループのサブグループは、スクリーニングテストに関してQC株をテストする頻度を調査した。ワーキンググループは、スクリーニングテストの出荷に際してポジティブおよびネガティブの両方のQC株を用いた試験を実施することを推奨した。もしQCテストがルーチンに実施されていない場合には、ネガティブ株を用いたQC試験だけでも毎週あるいは毎回実施することを推奨した。
CMIは、β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害薬のすべてに、大腸菌ATCC 35218を新しいQC株 (肺炎桿菌ATCC 700603)にリプレイスすることを提案するであろう。Brown博士は、2012年6月のミーティングの際にM23を示す予定であると述べた。
コリスチンのQCレンジの設定に関して多くの議論があった。JMIのグループはブロスにTweenを加えることを示唆した。CDCは、variables、ブロス(Tween添加)、ブロス(Tween非添加)などの試験計画をコーディネートする予定である(Tween添加、コロナ処理など)。レファレンスブロスの決定は、QC範囲の設定およびブレイクポイントの設定に先立って終了する必要がある。

次回のCLSIのASTミーティングは、2012年6月10日から12日に米国ジョージア州アトランタのLoews Atlanta Hotelで開催予定である。

【補追】
CLSIはブレイクポイントを毎年見直して変更していますが、どの程度変化するかに関して、愛知医科大学病院のデータを解析した結果の一部を示す。常に、新しい情報を入手する必要性が高いことが理解できる。

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