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国際委員会より CLSI参加報告

国際委員会報告:2011年6月 CLSI会議に参加して

 2011年6月12〜14日に米国ボストンで開催されたCLSImeetingに本学会国際委員として三鴨廣繁委員(愛知医科大学)および舘田(東邦大学)が参加した。朝8時から夕方5時過ぎまで3日間にわたる議論の末に以下の内容が決定された。その概要を項目ごとに示す。なお、最終決定版はパブリックコメントを受けた上で来年の1月に発表される予定である。

1.ドリペネム・ブレイクポイント
 J&Jからの要望によりドリペネムのブレイクポイントが議論され、以下のように決定された。この情報は来年の1月にM100-S22として周知される予定である。

全般的なコメント
・ブドウ球菌はMSSAを対象にしている。MRSAの場合には耐性として報告する。
・ドリペネムの抗緑膿菌作用が他のカルバペネム剤に比較して強いことが確認された。
・投与法に関して、米国では500mgを8時間ごと(1時間点滴)、一方、日本では1gを8時間ごと(1時間あるいは4時間点滴)であることが確認された。

Group Table Number MIC(mcg/mL) Disk(mm)
    S I R S I R
P. aeruginosa 2B-1 <2 4 >8 >19 16 - 18 <15
Acinetobacter spp. 2B-2 <1 2 >4 >18 15 - 17 <14
Staphylococcus spp. 2C <0.5 - - >30 - -
Haemophilus
influenzae and H.
parainfluenzae
2E <1 - - >16 - -
S. pneumoniae 2G <1 - - - - -
Viridans grp.
Streptococci
2H-2 <1 - - - - -
Anaerobes 2J <2 4 >8 - - -

2.キノロン剤ワーキンググル―プ
 チフスおよび腸管外サルモネラ感染症に関しては、議論の末に2011年1月に承認された以下の内容が公開されることとなった。

Ciprofloxacin
Group Table Number MIC(mcg/mL)
    S I R
S. typhi and
extraintestinal
Salmonella spp.
2A <0.06 0.12 - 0.5 >1

キノロン耐性を推定する上でのナリジクス酸感受性試験は、その簡便性と低価格の点から残されることとなった。

3.局所投与薬ワーキンググル―プ
 特に新しい情報および大きな変化はみられなかった。

4.ブドウ球菌、連鎖球菌ワーキンググル―プ

A.黄色ブドウ球菌に対する新しいβラクタマーゼ試験

 現在、以下のコメントがTable 2Cに記載されている。“ペニシリンのMICが<0.12μg/mLあるいは阻止円の直径が>29mmの場合には全ての黄色ブドウ球菌に対して誘導βラクタマーゼ試験を実施し、その上でペニシリン感受性を報告すること”。多くの検査室においてセフィナーゼ試験が実施されているが、今回の議論の中で新しくペニシリン10μgを用いたディスク試験を実施することが確認された。もし阻止円の周りが“fuzzy(ぼやけた・はっきりしない)”であればβラクタマーゼ非産生、“sharp(境界明瞭)”であればβラクタマーゼ産生と判断する。“fuzzy”は“beach(砂浜)”、“sharp”は“cliff(崖)”と形容されることもある。以下の表にそれぞれのβラクタマーゼ産生試験の感度と特異度を比較して示す。

  % Sensitivity % Specificity
Induced Cefinase test 77 100
Cloverleaf test 100 100
Fuzzy/Sharp Zone Edge 96 100

 Cloverleaf試験がもっとも良好な感度と特異度を示ているが、実際にはその実施および解釈が難しい場合が存在する。阻止円の周囲の性状から判断する方法は実施しやすく、またその判定が容易である。標準株としてはS. aureus ATCC 25923(βラクタマーゼ非産生)、S. aureus ATCC 29213(βラクタマーゼ産生)を用いる。今回の検討において、“もしセフィナーゼ試験が陰性の場合には“fuzzy zone-sharpzone”試験あるいはPCR試験を実施することが推奨される.”と改訂されることになった。

B.β溶血性連鎖球菌に対するクリンダマイシン誘導試験
 Table 2H-1-S7はそのまま残すこととなり、コメントをTableの最初に移動することとなった。

C.肺炎球菌に対する新しいドキシサイクリンおよび改訂テトラサイクリンディスク・ブレイクポイント
 Hardy培地ではBBL培地に比べ阻止円が大きくなることが確認された。Hardy培地の成績を削除するかが議論されたが、最終的には今後のデータの蓄積を待って判断することとなった。

D.従来法(PBP2’ラッテックスおよびmecA PCR)では検出できない新しいmecA variant株に関する報告 (Robert Skov先生)

E.CDCによる新しいバンコマイシンスクリーニング培地:4%バンコマイシン+16g/L casein(BHI base)
 菌液(マックファーランド0.6)を10ul本培地にスポットすることによりVISA株を正確に検出できることが報告された。

5.Intrinsic耐性ワーキンググループ(Appendix B in M100-S21)
 Citrobacter koseri に関して、腸内細菌科の中でCitrobacter 属に含めて記載するかどうかが議論された。その結果、C. koseriC. farmeri はAmpC遺伝子を保有しておらずC. freundii とは完全に異なることから分けて記載することが確認された。
その他にIntrinsic耐性に関するTableをM100-Sxxに掲載するかどうかが議論された。その結果、本Tableを掲載することが確認され、またブドウ糖非発酵菌やグラム陽性菌情報の追加に関しても本ワーキンググループで継続して検討していくことが確認された。

6.グラム陰性菌ワーキンググル―プ (以前の腸内細菌科WG)
 カルバペネム剤の緑膿菌に対する改訂および新しいブレイクポイント
Antimicrobial Agent MIC(mcg/mL) Disk(mm)
  S I R S I R
Doripenem <2 4 >8 >19 16 - 18 <15
Imipenem <2 4 >8 >19 16 - 18 <15
Meropenem <2 4 >8 >19 16 - 18 <15


エルタペネムの腸内細菌に対する改訂ブレイクポイント
Antimicrobial Agent MIC(mcg/mL) Disk(mm)
  S I R S I R
Ertapenem <0.5 1 >2 * * *
*ディスク法ブレイクポイントに関してはメイル審議ののち決定


7.精度管理ワーキンググループ
 新しい抗菌薬に関する精度管理MICレンジが以下のようになった。

A.Finafloxacin
Organism ATCC # QC Range % Observed
Captured
E. faecalis 29212 0.25 - 1 100
S. aureus 29213 0.03 - 0.25 98.3
E. coli 25922 NR* -
P. aeruginosa 27853 1 - 8 99.2
S. pneumoniae 49619 0.25 - 1 99.2
B. fragilis (agar) 25285 0.12 - 0.5 96.2
B. thetaiotaomicron 29741 1 - 4 100
C. difficile 70057 1 - 4 ?
E. lentum 43055 0.12 - 0.5 100
*No Range


B.Telavancin - 改訂されたレンジ
Organism ATCC # Old Range New Range % Observed
Captured
S. aureus 29213 0.12 - 1 0.03 - 0.12 100
E. faecalis 29212 0.12 - 0.5 0.03 - 0.12 100
S. pneumoniae 49619 0.004 - 0.03 0.004 - 0.015 100


C.Solithromycin (以前のCEM-101)
Organism ATCC # QC Range % Observed
Captured
E. faecalis 29212 0.015 - 0.06 95.6
S. aureus 29213 0.03 - 0.12 96.6
S. pneumoniae 49619 0.004 - 0.015 99.3
H. influenzae 49247 1 - 4 99.7


D.JNJ463(一部数値を確認中)
Organism ATCC # QC Range % Observed
Captured
E. faecalis 29212 0.015 - 0.06 100
S. aureus 29213 0.004 - 0.015 100
P. aeruginosa 27853 0.5 - 2 98.8
E. coli 25922 0.008 - 0.03 100
S. pneumoniae 49619 0.004 - 0.015 100
H. influenzae 49247 0.002 - 0.015 100


E.TP-434
Organism ATCC # QC Range % Observed
Captured
S. aureus 29213 0.015 - 0.12 ?
S. pneumoniae 49619 0.004 - 0.03 100
E. coli 25922 0.03 - 0.12 100
P. aeruginosa 27853 2 - 16 100
H. influenzae 49247 0.06 - 0.5 ?


F.PMX-30063
Organism ATCC # QC Range % Observed
Captured
E. faecalis 29212 1 - 4 95.9
S. aureus 29213 0.5 - 2 98.5
S. pneumoniae 49619 4 - 16 99.6


G.K. pneumoniae ATCC 700603-β-lactam/ β-lactamase Inhibitor Combinations
Antimicrobial Agent QC Range % Observed
Captured
Amoxicillin/clavulanic acid 4 - 16 99.1
Ampicillin/sulbactam 8 - 32 100
Piperacillin/tazobactam 8 - 32 100
Ticarcillin/clavulanic acid 32 - 128 100
Amoxicillin alone >128 100
Ampicillin alone >128 100
Piperacillin NR* -
Ticarcillin >256 100
*No Range


H.緑膿菌に対する新しいブレイクポイント(2011年1月に承認)
Antimicrobial Agent MIC(mcg/mL)
  S I R
Piperacillin <16 32 - 64 >128
Ticarcillin <16 32 - 64 >128
Piperacillin-tazobactam <16 32 - 64 >128
Ticarcillin-clavulanic acid <16 32 - 64 >128

ディスク法ブレイクポイントの変更はなし

 次回のCLSImeetingは2012年1月22〜24日にアリゾナ州テンペで開催される予定である。本学会国際委員が参加し、新しい情報の入手およびその会員へのフィードバックを継続して実施していく予定である。

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