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国際委員会 2015 Jun CLSI報告

CLSI 13 Jun - 17 Jun 2015 AST meeting報告
(2015年6月13日〜2015年6月16日:バージニア州アーリントン)
舘田 一博(東邦大学)、大楠 清文(東京医科大学)

 2015年6月13日〜6月16日に開催されたClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)のAntimicrobial Susceptibility Testingミーティングに、日本臨床微生物学会から国際委員の舘田一博 委員長(東邦大学)と大楠清文委員(東京医科大学)が参加した。3日間にわたるプレゼンテーションおよびディスカッションが行われたのでその概要とトピックスをワーキンググループ別に報告する。なお、今回の会議で決定された事項については2016年1月のASTミーティングまでは最終ではなく、最終決定版はパブリックコメントを受けた上で2016年の1月に公表される予定である。

MethodologyワーキンググループPart 1

  • Oritavancinのディスク拡散法GC株としてS. aureus ATCC 29213を追加することが承認された。OritavancinのS. aureus ATCC 29213に対するMIC値は、微量液体希釈法で0.06 μg/mL 、ディスク拡散法での阻止円は20 - 21 mmである。現在、使用されているGC株のS. aureus ATCC 2593に対するMIC値は、微量液体希釈法で0.25 μg/mLであるが、ブレイクポイントが≤0.12 μg/mLと一管差であり、最近実施したサーベイランスにおいてMIC90値が0.06 μg/mLで99%以上の菌株がsusceptibleであること、ディスク拡散法でのGC range 15 - 19 mmではnon-susceptibleの判定に混乱をもたらす可能性があることなどを勘案して、GC株として新たにS. aureus ATCC 29213を追加した。
  • 塩野義製薬で開発された新規抗菌薬 S-69266(siderophore cephalosporin)の薬剤感受性試験に関して、本薬剤の作用メカニズムを考慮して通常のCAMHB ではなく、鉄制限下の培地(cation-binding resin treated MHB)を用いて今後、以下の検討を実施することを承認された。
    1. 鉄制限下培地を用いた微量液体希釈法で各QC株に対するQC rangeを設定すること(各QC 株でのMIC値の再現性を確認する)。
    2. 臨床分離株を用いてMIC 値の再現性を確認する。そのために 適切なMIC値 エンドポイントを設定して評価すること。さらに、評価の対象として緑膿菌、腸内細菌に加えて、Trailing 現象を示すAcinetobacter属の菌株も追加する。

Table 1 and 2 Ad Hoc Working Group

  • Ticarcillin-clavulanateは、現在販売されていないのでTable 1のカラム全体から削除する。なお、本薬剤の解釈基準についてはTable 2に残したままとする。
  • Acinetobacter spp.のASTで実施すべき薬剤のカテゴリーにおいて、Tetracycline を Group BからGroup Uへ移動する(Table 1AおよびTable 2B)。
  • Table 1AのBurkholderia cepacia complexStenotrophomonas maltophilia、およびTable 1BのHaemophilus influenzae & H. parainfluenzaeに関して、ChloramphenicolをGroup BからGroup Cへ移動する。
  • Table 1AのBurkholderia cepacia complex に関して、MeropenemをGroup BからGroup Aへ移動する。
  • Table 1BのStreptococcus spp. β-Hemolytic Groupに関して、Quinupristin-dalfopristinをGroup Cから削除する。
  • Table 2CにStaphylococcus pseudintermediusの Oxacillinに対するブレイクポイントを新たに設けることが承認された。本菌種は近年、獣医学分野のみならずヒトの感染症においても問題となっており、S. aureusS. intermediusと誤同定される可能性があることが紹介された。S. pseudintermediusの Oxacillinに対するブレイクポイントは、ディスク拡散法で18mm以上がsusceptible (S)、17mm以下がresistant (R)、MIC法では0.25 μg/mL以下がS、0.5 μg/mL以上がRとすること、コメント欄に「Neither cefoxitin MIC nor cefoxitin disk tests are reliable for detection mecA mediated resistance in S. pseudintermedius」と記載することが承認された。
  • Table 2AにSalmonellaのフルオロキノロン剤に対するブレイクポイントや報告について新たな記載を設けることが承認された。
  • Tedizolid (TZD)のMIC値判定時のTrailing 現象についてM7およびM100に追記することが承認された。

Intrinsic Ad Hoc Working Group

  • Appendix B2のPseudomonas aeruginosa欄においてFosfomycinを削除することが承認された。その背景として、CLSIおよびEUCASTに本菌種と本薬剤の組み合わせに関するブレイクポイントの記載はないこと、Intrinsic resistanceを支持する文献もないことが紹介された。

ブレイクポイントワーキンググループ

  • Colistinのブレイクポイントの決定についてはCLSIとEUCASTとのコラボレーションが必要であることが再確認された。Acinetobacter spp.とPseudomonas aeruginosaのcolistinに対するブレイクポイントで ≥ 4 μg/mLをresistant(R)とすることは承認された。しかしながら、4 μg/mL未満の扱いについてはEUCASTの進捗状況も加味して今後の課題とした。また、Table 2B-5の「Other Non-Enterobacteriaceae」に記載されているcolistinのブレイクポイントについて、このMIC値を支持する文献がない場合には削除することが提案された。
  • Ceftolozane-tazobactamのブレイクポイント(FDA-approved breakpoints)を以下のような判定基準にすること、M100の次回バーションに収載することが承認された。
Ceftolozane/Tazobactam
Table Organism Group MIC Interpretive Criteria Disk Diffusion Interpretive Criteria
2A Enterobacteriaceae S ≤ 2/4; I = 4/4; R ≥ 8/4 None
2B-1 Pseudomonas aeruginosa S ≤ 4/4; I = 8/4; R ≥ 16/4 S ≥ 21; I 17-20; R ≤16 mm
2H-2 Streptococcus spp.
Viridans Group
S ≤ 8/4; I = 16/4; R ≥ 32/4 None
  • Tedizolid ブレイクポイント(FDA-approved breakpoints)を各テーブルにおいて以下のような判定基準とすること、M100の次回バーションでTedizolid をlinezolidの次欄に収載することが承認された。
Tedizolid
Table Organism Group MIC Interpretive
Criteria
2A Staphylococcus aureus(methicillin-resistant and methicillin-susceptible isolates) S ≤ 0.5; I = 1; R ≥ 2
2B-1 Streptococcus pyogenes S ≤ 0.5
2H-2 Streptococcus agalactiae S ≤ 0.5
2H-2 Streptococcus anginosus group* S ≤ 0.25
2H-2 Enterococcus faecalis S ≤ 0.5

*includes S. anginosus, S. intermedius, and S. constellatus

Text and Tablesワーキンググループ

  • Table 1のGroup Bのタイトルが現在「Primary Test, Report Selectively」となっているが、この先頭に「Optional」を追加して、「Optional Primary Test, Report Selectively」とすることが承認された。この変更は、Group Bに掲載されている薬剤は必ずしも優先的に感受性試験を実施することを推奨していないが、各々の検査室の裁量で実施・報告するとのことを再認識させるためである。

Quality Controlワーキンググループ

  • Aztreonam-avibactum(30/20 μgディスク)の各QC株に対するQC rangeが、以下のように承認された。
Organism QC Range
(mm)
E. coli ATCC 25922 32 - 38
P. aeruginosa ATCC 27853 24 - 30
E. coli ATCC 35213 31 - 38
K. pneumoniae ATCC 700603 26 - 32
  • Aztreonam(30 μgディスク)の各QC株に対するQC rangeが、以下のように承認された。
Organism QC Range
(mm)
E. coli ATCC 35213 31 - 38
K. pneumoniae ATCC 700603 10 - 16
  • Clostridium difficile関連の下痢症(CDAD)治療薬として現在Clinical Phase IIIの段階にあるCadazolidC. difficile ATCC 700057に対するQC rangeが寒天平板希釈法で0.12 - 0.5μg/mLで承認された。また、微量液体希釈法では各QC株に対するQC rangeが以下のように承認された。
Organism QC Range
(μg/mL)
C. difficile ATCC 700057 0.12 - 0.25
E. faecalis ATCC 29212 0.06 - 0.25
S. aureus ATCC 29213 0.06 - 0.5
  • 新規キノロン薬 Levonadifloxacin(WCK771)の各QC株に対するQC rangeが、微量液体希釈法とディスク拡散法とで以下のように承認された。
微量液体希釈法

Organism QC Range
(μg/mL)
S. aureus ATCC 29213 0.008 - 0.03
E. coli ATCC 25922 0.03 - 0.25
P. aeruginosa ATCC 27853 0.5 - 4
S. pneumoniae ATCC 49619 0.12 - 0.5
H. influenzae ATCC 49247 0.008 - 0.06

ディスク拡散法

Organism QC Range
(mm)
S. aureus ATCC 29213 33 - 39
E. coli ATCC 25922 27 - 33
P. aeruginosa ATCC 27853 17 - 23
S. pneumoniae ATCC 49619 24 - 30
H. influenzae ATCC 49247 33 - 41
  • 新規マクロライド薬WCK4873の各QC株に対するQC rangeが、微量液体希釈法とディスク拡散法とで以下のように承認された。
微量液体希釈法

Organism QC Range
(μg/mL)
S. aureus ATCC 29213 0.06 - 0.25
E. faecalis ATCC 29212 0.015 - 0.12
S. pneumoniae ATCC 49619 0.008 - 0.03
H. influenzae ATCC 49247 2 - 8

ディスク拡散法

Organism QC Range
(mm)
S. aureus ATCC 29213 25 - 31
S. pneumoniae ATCC 49619 25 - 31
H. influenzae ATCC 49247 16 - 20
  • 新規フルオロキノロン薬 DelafloxacinS. pneumoniae ATCC 49619に対するQC rangeが、ディスク拡散法で28 - 36 mmと承認された。
Organism QC Range
(μg/mL)
E. coli ATCC 25922 0.06 - 0.25
P. aeruginosa ATCC 27853 0.5 - 4
  • 新規抗菌薬 Eravacyclineの各QC株に対するQC rangeが微量液体希釈法と寒天平板希釈法とで以下のように承認された。
微量液体希釈法

Organism QC Range
(μg/mL)
C. difficile ATCC 700057 0.015 - 0.06
B. fragilis ATCC 25285 0.015 - 0.12
B. thetaiotaomicron ATCC 29741 0.06 - 0.25

寒天平板希釈法

Organism QC Range
(μg/mL)
C. difficile ATCC 700057 0.06 - 0.25
B. fragilis ATCC 25285 0.06 - 0.25
B. thetaiotaomicron ATCC 29741 0.12- 1
  • 新規抗菌薬Secnidazole(analog of metronidazole)の各QC株に対するQC rangeが寒天平板希釈法で以下のように承認された。
Organism QC Range
(μg/mL)
B. fragilis ATCC 25285 0.25 - 1
B. thetaiotaomicron ATCC 29741 0.5 - 2
C. difficile ATCC 700057 0.06 - 0.5
E. lenta ATCC 43055 0.25 - 2
  • 新規抗菌薬 BAL30072(monocyclic β-lactum)の各QC株に対するQC rangeが微量液体希釈法で以下のように承認された。
Organism QC Range
(μg/mL)
E. coli ATCC 25922 0.06 - 0.25
P. aeruginosa ATCC 27853 1 - 8
  • 新規抗菌薬 BAL30072-meropenem(ratio 1:1)の各QC株に対するQC rangeが微量液体希釈法で以下のように承認された。
Organism QC Range
(μg/mL)
E. coli ATCC 25922 0.015 - 0.06
P. aeruginosa ATCC 27853 0.25 - 1

Disk Mass Ad Hocワーキンググループ

 ディスク法で使用されている薬剤の含有量がCLSIとEUCASTとで異なることが紹介された。今後、ディスクの薬剤含有量を変更する場合には、M23における検討課題として取り上げるのか、もし検討すると決定した際には、その予算措置をどうするかの議論が必要であることが提示された。

微量液体希釈法Ad Hocワーキンググループ

  • 前回のCLSI会議で報告された2014年夏季サーベイ資料の集計結果において、微量液体希釈法(BMD)の施設間によってばらつきが大きかった要因のなかから、以下のような“actionable”な項目を3つ取り上げて、M07への追記は必要か否かが議論された。
    1. 菌液をMcFarland 0.5に調整する際にどのような方法を用いているか?:市販のMacFarland Reader(6), Nephelometer(3), Densitometer(1), Wickerham Card(1), other(4; BMX Colorimeter; MicroScan Turb.; Visual to 0.5 McF; Siemens Dnes.)
      追記の案として以下の文章が提示されたが、「追記必要なし」と判断された;“Users must conform that the MacFarland Standard ‘reading’ of their densitometer, nephelometer or commercial reader is equivalent to a MacFarland 0.5 before it is used for BMD testing.”
    2. 薬剤感受性試験用のパネルは何度(平均)で培養しているか?;34-35℃(8), 35-36℃(6), 36-37℃(1), Other(1; 35℃)

      現在、M07では35℃±2℃と記載されている一方、ISOのM20776-2には34-37℃と明記されている。この記載の違いが議論されたが、35℃±2℃の記載のままで変更しないと決定された。
    3. BMD用の凍結しているパネルは融解後どのくらいの経過時間で使用している?どの環境で融解していか?;30-45 min. on bench(4), 15-30 min. on bench(3), 〜15 min. on bench(1), Other 4; 〜1h.; 90 min. on bench; Take out mid-morn, inoc. mid-after; 〜2h.)

      M07の「Inoculum Preparation and Inoculation」のセクションにパネルを室温に戻して1時間以内に使用することを明記してはどうかと提案されたが、追記は見送りとなった。

MethodologyワーキンググループPart 2

Molecular Results Reporting Ad Hoc ワーキンググループ

 前回のCLSI会議で新規に立ち上げられたワーキンググループである。FDAで認可された機器・試薬のみを扱うことやメチシリン耐性、バンコマイシン耐性、ESBL、カルバペネム耐性の検出について検討を行うことが提案された。また、各々の薬剤耐性菌の検出について、1)集落、2)臨床検体(鼻咽頭スワブや肛門スワブなど)、3)血液培養陽性の培養液からの3通りに分けて記載することが示された。今後、これらの記載をM100にTableとして掲載することが提案された。

Direct Blood Culture Susceptibility Ad Hoc ワーキンググループ

 本ワーキンググループも前回の会議で新規に立ち上げられた。その後、血液培養の陽性となった培養液からすぐに薬剤感受性試験を行う標準法を確立するにあたって、キーとなる実際的なファクターは、1)Log phase growth, 2)pure culture, 3)Inoculum densityの3項目を主体として予備検討が行われたことが報告された。
 今後は、グラム陽性菌(GPC)とグラム陰性菌(GNR)に分けて、以下のようなワークフローと薬剤について検討を進めていくことが提案された。また、血液培養ボトルの種類が異なる施設において各々検討を実施することが示された。

次回のASTミーティング

 次回のCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)AST(Antimicrobial Susceptibility Test)ミーティングは、2016年1月9日〜1月12日に、米国アリゾナ州タンパで開催されることが報告された。

(文責:大楠 清文)

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