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国際委員会 2015 CLSI報告

CLSI 11 January-13 January 2015 AST meeting報告
(2015年1月11日〜2015年1月13日:フロリダ州フォートローダーデール)
舘田 一博(東邦大学)、大楠 清文(東京医科大学)

 2015年1月11日〜1月13日に開催されたClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)のAntimicrobial Susceptibility Testingミーティングに、日本臨床微生物学会から国際委員の舘田一博 委員長(東邦大学)と大楠清文 委員(東京医科大学)が参加した。3日間にわたるプレゼンテーションおよびディスカッションが行われたのでその概要をワーキンググループ別に報告する。なお、今回の会議で決定された事項については2015年6月のASTミーティングまでは最終ではなく、最終決定版はパブリックコメントを受けた上で2015年の6月に公表される予定である。

MethodologyワーキンググループPart 1

Anaerobe Ad Hocワーキンググループ

  • Anaerobic Gram-Positive Bacilliに対するvancomycinとaminoglycosidesの本質的耐性に関してM100-S25のAppendix B5に以下の表を追加することが承認された。

微量液体希釈法 Ad Hocワーキンググループ

  • 微量液体希釈法(BMD)の標準法における「ばらつき(変動要因)」を把握して、それらの変動要因がMIC値の再現性にどのような影響与えるか、さらにはどのように改良していけば良いかを決定するために、全米の14施設と国外3施設に対して2014年夏季にサーベイ資料を配付して、同年秋に回収されたデータの集計結果が報告された。
  • 施設間によってばらつきが大きかった要因として以下の項目が挙げられた(括弧内は施設数)なお、14施設の回答であるが合計が14以上になっている場合には1施設で複数の回答があったと解釈する。
  • ― BMDを実施する際の菌液調整に何を用いるか?;Sterile Saline(10), purified Water(3), Mueller-Hinton broth(2)
  • ― 菌液をMcFarland 0.5に調整する際にどのような方法を用いているか?:市販MacFaland Reader(6), Nephelometer(3), Densitometer(1), Wickerham Card(1), other(4; BMX Colorimeter; MicroScan Turb.; Visual to 0.5 McF; Siemens Dnes.)
  • ― 接種した培地に含まれる実際の菌数測定をどのくらいの頻度で行っているか?:Normally Do Not Perform(3), Only QC strains the Day of Testing(2), Other(9; Every 20th if large # isolates; Periodically; QC & ‘samples’; Monthly; Yearly; Quarterly; Each new batch & randomly)
  • ― 接種する菌の培養は一般的にどの平板培地を用いているか?;Blood Agar 5% SB- TSA(13), Trypticase Soy Agar Plates - w/o blood(1), Selective Media(2)
  • ― QCで用いる菌株は一般的にどのような環境で保存しているか?;Ultra-Low Freezer < 40℃(11), Refrigerator 2-8℃(3), Other(1; 2-8℃ if < 7days, or -40℃)
  • ― QCで使用する菌株は保存状態から何回継代しているか?;Twice(11), Once(2), Other(2; Isolates 0-2 times; 1x Refrigerator, 2X Freezer)
  • ― 薬剤感受性試験用のパネルは何度(平均)で培養しているか?;34-35℃(8), 35-36℃(6), 36-37℃(1), Other(1; 35℃)
  • ― BMDを実施する前に分離菌株はどのくらいの時間(平均)培養しているか?;18-20 h(5), 16-20 h(4), 22-24 h(2), 20-22 h(1), Other(1; 18-24 h)
  • ― BMD用の凍結しているパネルは融解後どのくらいの経過時間で使用している?どの環境で融解していか?;30-45 min. on bench(4), 15-30 min. on bench(3), 〜15 min. on bench(1), Other 4; 〜1h.; 90 min. on bench; Take out mid-morn, inoc. mid-after; 〜2h.)
  • ― 菌液調整後、どのくらいでBMCパネルに接種しているか?;< 15 min.(11), 15-20 min.(2), Other(1; 15-30 min., STPN < 15 min.)
  • ― BMDパネルに接種後、どのくらい経ってから孵卵器に移しているか?;< 15 min.(7), 15-20 min.(5), > 30 min.(1)
  • ― BMDパネルを培養する際に何枚重ねているか?;4枚(8), 3枚以下(2), 5枚(1), 6枚以上(2)
  • ― BMDパネルの培養中の乾燥を防ぐための手段は?;Plastic Lids/Covers(5), Plastic Bags(5), Plastic Tape/Seal(4), Other(2; Closed in Humid. Bin; Tupperware Bin)
  • ― BMDパネルの培養時間は?;16-18 h(8), 18-20 h(4), 20-24 h(1), Other(1; Follow CLSI Rules/Org.)
  • ― BMDパネルの判定(読み取り)はどのような方法か?;Magnified Mirror Reader(7), Light Box(1), Other(Hand-held bright lite behind; BioMIC & endpoint check; Sensititre auto; Hold panel up to light source against back background)
  • ― BMDパネルの判定の際、発育のエンドポイントの判定難しかったときはどうしているか?:Request a 2nd Reader(8), Leave the Results Blank. Re-subculture & Repeat Testing(3), Request Two Additional Reader & Accept the MIC with the Highest Agreement(2)
  • ― BMDパネルの判定で発育のエンドポイントの判定が最も難しい菌種名と薬剤の組み合わせは何ですか?

ポリミキシンB Ad Hocワーキンググループ

  • 4つの審議事項についてデータのプレゼンテーションが実施された後、投票が行われて以下の3項目が承認された。
  • ― ポリミキシンの組成(A&B, B1&B2)の比率が異なるものを使用してもMIC値測定において、その違いを無視できる。
  • ― ポリミキシンBのMIC値測定はポリスチレン製のトレイを用いるべきだと明記する(ポリミキシンはプラスチックに結合するので、プラスチック製のトレイではMIC値が低下するため)。
  • ― ポリミキシンBのMIC値測定は、現時点においては微量液体希釈法のみを標準法とする。なお、この承認に伴い、M100に記載されているポリミキシンBのディスク法によるQCレンジは削除すべきとの意見が出された。

MethodologyワーキンググループPart 2

Molecular Results Reporting Ad Hoc ワーキンググループ

 今回、新規に立ち上げられたワーキンググループである。今後の活動についてWGメンバーや参加者から様々な意見がだされた。「Molecular」の範囲は核酸増幅法のみならず、例えばMRSAのラテックス凝集法によるPBP2’の検出など免疫学的な方法も含み、従来の表現型に基づくもの以外を包括的に扱うこと、EUCASTでも同じようなワーキンググループが新設されたので、その動向を注視しながら活動することなどが議論された。

Direct Blood Culture Susceptibility Ad Hoc ワーキンググループ

 本ワーキンググループも今回、新規に立ち上げられた。血液培養の陽性となった培養液からすぐに薬剤感受性試験を行う標準法を確立するにあたって、本ワーキンググループの役割や今後の方針とスケジュールに関してWGメンバーや参加者が一緒にブレインストーミングを行った。

  • 最初に文献のレビューが行われた。すなわち、血液培培養液から直接、薬剤感受性試験(AST)を実施・検討した17論文の概要が解説された。なお、この論文レビューの資料は事前に配付されなかったが、プレゼンテーションを行ったDr. Zimmerのご厚意により電子媒体で資料を提供して頂いたので本報告の最後に一覧表として掲載する。
  • ASTの実施に際して、キーとなる実際的なファクターは、1)Log phase growth, 2)pure culture, 3)Inoculum densityの3つである。
  • 培養液の前処理法として、1)平板培地にサブカルチャー後、4-6時間の集落(“scum”)から標準法を確立するか、あるいは2)Serum separate tubes(SST);採血管を用いて遠心分離後の菌を用いて調整するか、などを検討してその詳細を次回のCLS会議までにまとめて公表する。
  • 血液培養液の血液成分と発育阻害物質の効率的な除去法を確立したい。
  • 微量液体希釈法とディスク拡散法との双方でCLSI標準法との比較検討を行う。
  • 上述のようにして確立された方法を「標準的な方法;Standard method」とするのか「最も実用的な手法;most practical method」とするのか、今後も議論を重ねていく。

Table 1 and 2 Ad Hoc Working Group

  • Table 1AのAcinetobacter baumannii に関して以下のことが承認された。
  • ― ASTで実施すべき薬剤のカテゴリーで、fluoroquinolones, gentamicin, tobramycin, p iperacillin-tazobactumの4剤をGroup AからGroup Bへ移動する。
  • ― cefotaximeとceftriaxoneの2薬剤をカラム全体から削除する。
  • ― タイトルを「Acinetobacter baumannii complex」に変更する。
  • Table 1AのBurkholderia cepaciaに関して以下のことが承認された。
  • ― ASTで実施すべき薬剤のカテゴリーで、levofloxacinをGroup BからGroup Aへ移動する。
  • Table 1AのStenotrophomonas maltophilia に関して以下のことが承認された。
  • ― ASTで実施すべき薬剤のカテゴリーで、levofloxacinをGroup BからGroup Aへ移動する。
  • ― 同じく、chloramphenicolをGroup BからGroup Cへ移動する。
  • ― Ofloxacinとtelithromycinを削除する
  • ― Footnoteのgeneral commentsに以下の文章を挿入する;「Doxycycline and minocycline are not routinely reported on organisms isolated from the urinary tract because of low urine concentrations.」

Quality Controlワーキンググループ

  • MeropenemのS. pneumoniae ATCC 49619に対するQC rangeが、微量液体希釈法では0.06 - 0.25 μg/mLと承認された。
  • 新規抗菌薬 AZD0914(spiropyrimidinetrione; DNA gyrase inhibitor)の各QC株に対するQC rangeが、微量液体希釈法で以下のように承認された。

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 0.12 - 0.5
    E. faecalis ATCC 29212 0.25 - 2
    E. coli ATCC 25922 1 - 4
    S. pneumoniae ATCC 49619 0.12 - 0.5
    H. influenzae ATCC 49247 0.12 - 1

  • 新規フルオロキノロン薬 Delafloxacinの各QC株に対するQC rangeが、微量液体希釈法とディスク拡散法とで以下のように承認された。

    微量液体希釈法

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 0.001 - 0.008
    E. faecalis ATCC 29212 0.015 - 0.012
    S. pneumoniae ATCC 49619 0.004 - 0.015
    E. coli ATCC 25922 0.008 - 0.03
    P. aeruginosa ATCC 27853 0.12 - 0.5
    H. influenzae ATCC 49247 0.0025 - 0.01

    ディスク拡散法

    Organism QC Range
    (mm)
    S. aureus ATCC 29213 32 - 40
    S. pneumoniae ATCC 49619 29 - 36
    E. coli ATCC 25922 28 - 35
    P. aeruginosa ATCC 27853 23 - 29
    H. influenzae ATCC 49247 40 - 52

  • 新規抗菌薬 S-69266(siderophore cephalosporin)の各QC株に対するQC rangeが、微量液体希釈法(CAMHB)で以下のように承認された。

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    E. coli ATCC 25922 0.06 - 0.25
    P. aeruginosa ATCC 27853 0.5 - 4

  • AzithromycinのN. gonorrhoeae ATCC 49226に対するQC rangeが、寒天平板希釈法で0.25 - 1 μg/mLと承認された。
  • Solithromycin(fluoroketolide;現在Phase III)のN. gonorrhoeae ATCC 49226に対するQC rangeが、ディスク拡散法で34-42 mm(Range Finder; 33-43 mm)、寒天平板希釈法では0.03 - 0.25 μg/mLと承認された。
  • Meropenem/RPX7009(carbapenem/beta-lactamase inhibitor combination)の各QC株に対するMIC rangeとしてRPX7009の濃度が4 μg/mLと8 μg/mLの場合で以下ように提案された。

    Organism Fixed 4
    MIC Range(μg/mL)
    Fixed 8
    MIC Range(μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 0.03 - 0.12 0.03 - 0.12
    E. coli ATCC 25922 0.015 - 0.06 0.008 - 0.06
    E. coli ATCC 35218 0.015 - 0.06 0.008 - 0.06
    P. aeruginosa ATCC 27853 0.12 - 1 0.12 - 1
    K. pneumoniae ATCC 700603 0.015 - 0.06 0.015 - 0.06
    K. pneumonia ATCC BAA1705 0.015 - 0.06 0.15- 0.06

  • Amikacin/Fosfomycin(AFIS; amikacin fosfomycin inhalation system)の各QC株に対するQC rangeが微量液体希釈法と寒天平板希釈法とで以下のように承認された。

    微量液体希釈法

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 0.5 - 4
    E. faecalis ATCC 29212 32 - 128
    E. coli ATCC 25922 0.5 - 2
    P. aeruginosa ATCC 27853 2 - 8
    H. influenzae ATCC 49247 0.5 - 4
    S. pneumoniae ATCC 49619 8 - 64

    寒天平板希釈法

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 0.5 - 2
    E. coli ATCC 25922 0.25 - 2
    P. aeruginosa ATCC 27853 1 - 8

  • Cefepime/tazobactam(WCK4282)の各QC株に対するQC rangeが微量液体希釈法でtazobactamの濃度8 μg/mLの場合で以下のように承認された。

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    S. aureus ATCC 29213 1 - 4
    E. coli ATCC 25922 0.03 - 0.12
    K. pneumoniae ATCC 700603 0.12 - 0.5
    E. coli NCTC 13353 0.12 - 0.5
    P. aeruginosa ATCC 27853 0.5 - 4
    H. influenzae ATCC 49247 0.5 - 2
    S. pneumoniae ATCC 49619 0.03 - 0.12

  • Eravacyclineの各QC株(C. difficile ATCC 700057, B. fragilis ATCC 25285, B. thetaiotaomicron ATCC 29741, E. lentum ATCC 43055)に対するQC rangeが承認された。

    Organism QC Range
    (μg/mL)
    C. difficile ATCC 700057 0.06 - 0.25
    B. fragilis ATCC 25285 0.06 - 0.25
    B. thetaiotaomicron ATCC 29741 0.12 - 1
    E. lentum ATCC 43055 No range

IQCP Ad Hoc WGワーキンググループ

  • CMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)がインスペクション・ガイダンス(監査・指導指針)のレファレンスからCLSI が推奨している日常検査のQCに関する記述を削除することを発表したことに伴い、今後は自分の施設で独自にリスク評価を含めたガイドラインを作成しなければならない。この提唱の背景や自施設のガイドライン策定にあたって参照されるCLSIのドキュメントEP23について解説された。すなわち、新規にClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)が要求するIQPC(Individual Quality Control Plans)策定の概略が説明された。

Outreach Ad Hoc ワーキンググループ

 CLSIドキュメントのユーザーに対してさらに教育的な資料として活用してもらうべく、CLSIの活動を周知してもらうことや広く意見を求める活動を展開していく。E-mail, Webinars, YouTubeなどの媒体を活用していくこと、会議の内容をパワーポイントファイルで提供すること、会議資料を簡単にダウンロードできるようにすることなどが紹介された。例えば、以下のサイト(画面)から過去のCLSI会議の資料が入手できる。

http://clsi.org/standards/micro/microbiology-files/

ブレイクポイントワーキンググループ Part 1

  • Oritavncin(lipoglycopeptide)のブレイクポイント(FDA-approved breakpoints)が以下のように承認された。なお、本薬剤をTable 1Aと1BのGroup Cに加えることも併せて承認された。
  • ― Staphylococcus aureus(including methicillin-resistant isolates) ; ≤0.12(S only)
  • ― Streptococcus spp.(S. pyogenes, S. agalactiae, S. dysagalactiae, S. anginosus, S. constelltatus, S. intermedius ; ≤0.25(S only)

ブレイクポイントワーキンググループ Part 2

アミノグリコシド系の新薬 Plazomicinについて、以下のことが紹介された。

  • ― Plazomicin was engineered to resist modification by AMEs.
  • ― Plazomicin has potent in vitro and in vivo activity against Enterobacteriaceae spp., including strains that are resistant to carbapenems and/or currently marketed aminoglycosides.
  • ― AUC:MIC ratio appears to be the driver of efficacy for plazomicin based on pre-clinical studies.
  • ― Plazomicin displays PK properties similar to the aminoglycoside class.
  • ― Plazomicin displayed similar efficacy to levofloxacin in patients with cUTI/AP with an acceptable safety profile.
  • ― These data suggest plazomicin has the potential to provide clinical benefit to patients with infections due to MDR Enterobacteriaceae.

ブレイクポイントワーキンググループ Part 3

  • Telavancin(lipoglycopeptide)のブレイクポイントが提案され、以下のように承認された。

M23 ワーキンググループ

  • Development of In Vitro Susceptibility Testing Criteria and Quality Control Parameters; Draft Guideline; M23-A4が2015年7月に発刊予定であることや前バージョン(M23-A3)に以下のような改訂を行ったことが報告された。
  • ― 新規抗菌薬のMIC値の解釈法を追加した。
  • ― 新しいワーキンググループに対応して内容の配置を行った。
  • ― 判定基準をどのように解釈するかについてのセクションを新たに設けた。

次回のASTミーティング

 次回のCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute) AST(Antimicrobial Susceptibility Test)ミーティングは、2015年6月14日〜6月16日に、米国バージニア州アーリントンで開催されることが報告された。

(文責:大楠清文)

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